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豊田脳神経外科クリニック

予約・紹介状なしで受診可能です
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脳の病気と症状

頭痛

頭痛には善玉の良性頭痛と悪玉の頭痛があります。ほとんどの頭痛は善玉の頭痛でその場合はどんなに酷くても命に別状はありません。

しかし、脳や身体に病気があって起こる頭痛は悪玉の頭痛であり、命に関わる重大な病気が潜んでいる場合があります。

頭痛は突然のように起こることが多くとても不安な気持ちになります。先ずは、悪玉の頭痛かどうか調べる必要があります。

頭痛は脳自体が痛みを発しているように感じるかもしれませんが、脳自体には痛覚(いたみ)を感じるセンサーはありません。頭痛を発しているのは脳の血管、筋肉(頭皮の下)、硬膜(頭蓋骨と脳の間の膜)、神経であることが多いのです。

慢性頭痛




善玉の頭痛

もっとも多い頭痛のタイプは筋緊張型頭痛で、これは頭皮の下の筋肉が緊張して起こります。ストレスや疲れをきっかけに発症することが多く、たいていは一時的なものですぐ治りますが、場合によっては慢性化することがあります。

片頭痛は血管が拡張することによって引き起こされる頭痛で、若い女性に多く見られる傾向があります。症状の特徴としては、目の奥が痛くなる、吐き気や嘔吐を伴う、閃輝暗点(せんきあんてん、色の付いたギザギザが見える)や視野狭窄(しやきょうさく、見える範囲が狭まる)を伴うことがあります。通常1-3日で収まり、周期性があることが多いです。


悪玉の頭痛

くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎は頭痛で発症する代表的な疾患です。その他にも動脈解離や慢性硬膜下血腫など、頭痛を生じる脳の病気がいくつかあります。

恐ろしいのはくも膜下出血です。脳の血管に動脈瘤(どうみゃくりゅう)という風船のような瘤(こぶ)ができてそれが破裂することにより起こります。約1/3の人が命を落としたり、寝たきりになってしまいます。今まで経験したことのないような激しい頭痛が突然に発症することが多いですが、くも膜下出血を起こす前に警告頭痛といって軽度の頭痛の場合があります。頭痛の程度が軽いと、すぐに病院に行かず見過ごされてしまい、後で大出血して倒れてしまうことがあります。くも膜下出血の原因となる動脈瘤はMRA検査で診断することができます。

脳腫瘍がある場合、頭痛は慢性的でなおかつ徐々に悪化する経過をとることが多いです。目の見え方(視力や視野)の異常、手足の麻痺(まひ)、嘔吐を伴う、意識をなくして倒れたりけいれんを起こしたりするといった症状を伴うことがあります。

悪玉の頭痛を疑う症状にはこのようなものがあります。
1)突然の激しい頭痛
2)徐々に悪化する頭痛
3)手足の麻痺や目の症状、ろれつがまわらない、言葉がでない、めまい、まっすぐ歩けない、けいれん発作、など他の症状を伴う頭痛
4)血圧が高くなる


脳卒中

脳卒中とは「卒然として中る(あたる)」、突然悪い風にあたって倒れるという意味からきています。

症状は、脳卒中が起きる場所によって異なりますが、代表的な症状を記します。
1)片麻痺 (半身が動かなくなる)
2)感覚障害(半身の感覚、特に温度の感覚や痛みの感覚が鈍くなる)
3)言語障害 (ろれつが回らない、言葉が出ない、言葉が理解できない)
4)ふらつきやめまい(まっすぐ歩けなくなる)
5)意識障害
6)視野障害 (視野の半分が見えなくなる)


脳卒中の種類

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分けられます。脳梗塞とは脳の動脈が詰まって血の流れが悪くなり、脳がやられてしまうものです。昔から、脳溢血(のういっけつ)という言葉がありますがそれは「血が溢れる」、つまり脳出血の事です。くも膜下出血は頭痛の項でも説明しましたとおり、脳の血管に動脈瘤ができてそれが破裂することにより起こります。

脳卒中の種類



脳梗塞の分類

脳梗塞には3つのタイプがあります。

1)アテローム血栓性脳梗塞(けっせんせいのうこうそく、大きな動脈の動脈硬化によって血栓が出来て詰まるもの)
2)脳塞栓(のうそくせん、心臓に出来た血栓が流れてきて詰まるもの)
3)ラクナ梗塞 (脳の細い動脈が高血圧のために細くなって詰まってしまうもの

脳梗巣の大きさと血管のつまり方




脳卒中(特に脳梗塞や脳出血)の危険因子

脳卒中の危険因子にはこのようなものがあります。
1)高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、喫煙、過度の飲酒、ストレス
2)心房細動 (脳塞栓の原因となります)


一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)

脳卒中の症状が、一時的にでてすぐに改善することがあります。これを一過性脳虚血発作と言います。これは血栓が脳動脈を一時的に閉塞しても何らかの原因で血栓が溶けたり流れることで血管の閉塞が改善して症状が消えるためです。

症状がよくなったからといってそのまま放置する人も少なくないです。脳動脈や頚動脈が動脈硬化で狭窄(きょうさく、狭くなって流れが悪くなっている)している場合や、心臓の不整脈がある場合があります。一過性脳虚血発作は本格的な脳梗塞の前触れであることが多く、すぐに診断して治療を開始する必要があります。


無症候性脳血管障害(むしょうこうせいのうけっかんしょうがい)

症状は何もないし起きたこともなく、本人は全く健康であると自覚している場合でもCT検査や特にMRI検査で脳梗塞や小さな脳出血が見つかる場合があります。

いわゆる、「かくれ脳梗塞」や「かくれ脳出血」といわれるものです。これも場合によっては治療が必要になることがあります。また、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症などの生活習慣病がある場合は、これらを正し、きちんと管理・治療する必要があります。

認知症

様々な原因で脳の細胞の働きが悪くなったり、死んだりするためにいろいろな障害がおこり、日常生活で支障をきたしている状態のことをいいます。
代表的な症状は、「物忘れ」です。物忘れは、年齢を重ねるごとに誰にでもでてくる症状です。

では、加齢による物忘れと認知症の物忘れの違いは何でしょうか。
加齢による物忘れは、脳の生理的な老化によるもので、程度は軽く忘れる対象は一部に限られますし、ヒントがあれば思い出すことができます。本人に自覚があり、日常生活に支障をきたすことはありません。進行することもありません。加齢による物忘れは、どちらかというと記憶の想起(そうき)力が低下することによって起こります。例えば、「うっかり約束を忘れてしまう」、「鍵をどこに置いたか忘れて探してしまう」「人の名前が思い出せない」などは加齢による物忘れの範囲内です。約束したこと自体や、鍵を置いたことや、人物自体は覚えていて、自分が忘れていることは自覚をしています。

一方で、認知症による物忘れは、脳の神経細胞の急激な破壊により起こるもので、物事全体がすっぽり抜け落ちて、ヒントを与えても思い出すことは出来ません。本人は自覚がなく、進行性で、日常生活に支障をきたしています。記銘力(覚える力)が低下しているので、覚えること自体が出来にくくなっています。少し前の体験でさえ忘れてしまいます。従って、何度も同じことを尋ねるといったことが生じます。特に食事や外出などのエピソード記憶が障害されやすいです。体験の記憶がないので、「約束した覚えはない」「鍵は置いていない」と自覚がなく、人に言われると怒り出したりすることがあります。記銘力(覚える力)は低下していますが、想起力(再生する力)は保たれていますので、昔の記憶はしっかり思い出すことができます。


軽度認知障害(MCI)

普通の人の物忘れは、加齢とともに体験の一部を忘れる頻度が増えても、物忘れにより日常の生活に支障をきたしたりはしません。

しかし、ここで安心する訳にはいきません。認知症ではないけれど、ごく普通の物忘れの人に比較すると、その頻度や程度がひどい人がいます。このような方を「軽度認知障害 Mild Cognitive Impairment (MCI)」と言います。自他共に物忘れがひどいことを認め、記憶に関する心理テストを行うと正常の人より明らかに記憶力が低下しているのですが、日常の生活は問題なく営める人、つまり、加齢による物忘れと、認知症の中間にあてはまるような人をMCIといいます。

疫学調査によりますと、一般高齢者がアルツハイマー型認知症になる確率は年間1~2%であるのに対して、MCIでは年間10~15%とのことです。一般高齢者よりも約10倍アルツハイマー型認知症になる可能性が高いのです。